携帯電話でのキャリアメールが浸透している日本ではEメールの基本的な使い方を知らない人が多く居ます。MVNOが浸透してきている昨今、Eメールの使い方を今一度確認しておきましょう。
キャリアメールとは?
ドコモやau、ソフトバンクなど日本の携帯電話会社(“キャリア”と呼ばれています)が提供しているメールアドレスを『キャリアメール』と呼び、具体的には “@docomo.ne.jp” や “@ezweb.ne.jp” などがそれにあたります。
これらのキャリアメールは原則として携帯電話やスマートフォンからしか送受信することができませんが、最近ではiPhoneなどのスマートフォンの登場によりパソコンなどから送受信することも可能になりつつあります。
送信者名を連絡先から引用する
キャリアメールしか使ったことが無い人が一番勘違いするところです。
携帯電話でメールを受信すると送信者の名前が表示されますが、これは携帯電話に登録されている連絡先(電話帳)から自動的に引用されているのであり、Eメール自体にはそのような機能は無いので、本来はメールアドレスがそのまま表示されます。
メールの文字数に上限がある
最近は上限が高くなってきているので意識しなくとも問題は無いでしょうが、携帯電話が登場した当初は250文字程度の文字数しかやり取りができませんでした。
これは、キャリアメールがそもそも『ショートメッセージサービス(いわゆるSMS)』と呼ばれる電話番号のみでメッセージをやり取りする機能の延長であったからです。
ドメイン指定受信
キャリアメールを手放すことのできない理由の1つに、「キャリアメールからしか受信しない」と言う設定ができてしまうことです。
これは、迷惑メール対策のために各キャリアが実装した苦肉の策でしたが、これによってキャリアメールに送信するのはキャリアメールで無いとダメと言った不便な現象が発生しました。
もちろん、これは設定によって解除することもできますが、そもそも「解除の仕方がわからない」や「解除すると迷惑メールが届いてしまう」などと言った理由により解除がされにくい現実があります。
プッシュ通知/自動受信
これも勘違いしている人が多いですが、メールを自動で受信する『プッシュ通知/自動受信』は比較的珍しい機能です。
これまでのEメールでは、『メールソフト起動』→『メール受信』するまでメールが届いていることにすら気が付かないと言うのが普通でした。そのため、メールが届いたことが通知されるという仕組みはかなり特殊です。
ただ、企業向けのソフトウェアでは以前からプッシュ通知/自動受信するメールシステム(Exchange ActiveSyncなど)があり、昨今ではスマートフォンの普及により一般ユーザーでも使用されるようになってきました。
キャリアメールの特徴は以上です。
Eメールとは?
インターネットで送受信するメール全般を指します。この定義だとキャリアメールも含むことになりますが、パソコンやスマートフォンなど『任意のメールソフトで送受信が行えること』を前提とするとキャリアメールは別物と定義できます。
送信者名を送信者が決める
Eメールでは、メールを受信すると『送信者の名前が表示される』ことがありますが、これは受信者の連絡先から引用されている訳では無く、送信者が設定することができます。
したがって、“メールアドレス” と “送信者名” は1対1では無いので、自由に名前を変更することが可能です。また、設定しない場合にはメールアドレスがそのまま表示されることになります。
メールソフトが自由
Eメールを送受信するためのアプリやソフトウェアは、決まったものがあるわけでは無く自由に選択することができますが、最初からインストールされているソフトを使うことが多いでしょう。
インターネット上から任意のアプリやソフトウェアをダウンロードして利用することもできますが、少々難しい設定が必要になるため初心者の方には敷居が高くなっている原因でもあります。
複数の環境でメールを共有
Eメールは設定次第でパソコンやスマートフォンなどの複数のデバイスで、同じメールを読むことができるようになります。
そのため、例えばスマートフォンを紛失してしまってもパソコンから同じメールを読むことができます。また、逆に1つの端末のみで管理することもできるのでライフスタイルに合わせた使い方をすることができます。
Eメールの特徴は以上です。
Eメールの基本
キャリアメールに慣れていると、どうしても忘れてしまいがちなEメールの基本を紹介します。
送信先(TO、CC、BCC)の違い
携帯電話やスマートフォンでメールを送信する際には、家族や友人など親しい人に送ることが多いので、宛先は目的の人だけに送ることが多いでしょう。
しかし、Eメールは複数人にメールを送る機能を有しています。この時、送信先には『TO』『CC』『BCC』と言った3タイプを指定することができます。
TO(宛先) | メールの本来の送信先です。原則的にはこの項目だけ設定すればメールを送信することができます。 |
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CC | TOとは別に情報共有のために見ておいて欲しい人が居る場合に指定します。例えば、取引先とのやり取りメールを上司にも見ておいて欲しい場合などに上司を指定する項目です。 |
BCC | CCと同様の意味ですが、受信者はBCCに指定された内容を見ることができません。情報共有はしたいが相手に悟られたくない場合に指定します。 |
本来、BCCはメインの宛先に使用する項目ではありませんが、受信者が見ることのできない項目である故に一斉配信(同報メール)の際に使用されることがあります。
例えば、メールアドレスを変更した旨を連絡したい場合、“TO” に『自分のメールアドレス』を指定し、“BCC” に『送信相手のアドレス』を複数指定すれば、受信者には「誰に送られているか」を知るすべは無いので、複数の宛先にメールを同時配信することができます。受信者には “TO” に指定したアドレスしか見ることができないので情報漏洩にもならず便利です。
実はキャリアメールでもこの設定は可能ですが、小さい画面であるが故にデフォルトでは表示されていないことも多いため意識して設定することはマレでしょう。
メール本文
キャリアメールに慣れていると「受信メールの名前は当然表示されているだろう」と言う思い込みがあります。そのため、メール本文の冒頭で自分自身を名乗らない人が多く居ます。
しかし、相手がパソコンで受信するとメールアドレスの持ち主を連絡先(電話帳)から引用できないので、“TO(送信者)” の欄にはメールアドレスしか表示されず「誰から送られてきたのかわからない」と言う困ったことになります。
個人から企業に対してメールを送信するときに多く発生する問題で、受け取った企業側は送信者が不明なので対処のしようがないことも多いです。
したがって、特に『キャリアメール』から『Eメールアドレス』宛にメールを送信する際には、メール本文の冒頭で「自分自身が誰なのか」名乗るようにするのが良いでしょう。
昨今では、LINEなどのメッセンジャーアプリを使用することが多いですが、ビジネスの場ではまだまだEメールは重要なツールなので、これからも長く利用されていくことと思います。