スマートフォンのSIMロックを解除したからと言って全ての他社キャリア(NTTドコモやau・ソフトバンクなど)で利用できるわけではありません。利用するためには “通信方式” と “周波数” を合わせる必要があり、最悪の場合には「使えない」「通信できない」と言ったトラブルに見舞われるので注意が必要です。
通信方式
NTTドコモとソフトバンクは同一の通信方式を使用しているので、周波数が合えば相互にスマートフォンの利用が可能です。
auに関しては4Gに限り利用可能ですが、3Gは他社と異なるので利用不可能です。また、UQモバイルはVoLTE非対応端末(iPhone5sなど)で音声通話のみ3Gが利用可能です。
世代 | ドコモ | au (UQモバイル) |
ソフトバンク (Y! mobile) |
---|---|---|---|
4G | LTE | LTE | LTE |
3G | W-CDMA | CDMA2000 | W-CDMA |
周波数
使用している周波数は各キャリアの世代ごとに異なります。表中の “〇” で示しているのは「使用している周波数」で “●” で示しているのはプラチナバンドなど「特に重要な周波数」です。全ての周波数に対応している必要はありませんが、より多くの周波数に対応している方が利用可能エリアが広がり使い勝手が良くなるでしょう。
4G(LTE)
ドコモ・au(UQモバイル含む)・ソフトバンク(Y!mobile含む)が4G(LTE)で使用している周波数です。
band | docomo | au | (UQ mobile) | SB | (Y! mobile) |
---|---|---|---|---|---|
1 (2.1G) | ● | 〇 | 〇 | ● | ● |
3 (1.7G) | 〇 | - | - | 〇 | 〇 |
8 (900M) | - | - | - | ● | ● |
11 (1.5G) | - | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
18 (800M) | - | ● | ● | - | - |
19 (800M) | ● | - | - | - | - |
21 (1.5G) | 〇 | - | - | - | - |
26 (800M) | - | ●※ | ●※ | - | - |
28 (700M) | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
42 (3.5G) | 〇 | 〇 | - | 〇 | 〇 |
3G(W-CDMA)
ドコモ・ソフトバンク(Y!mobile含む)が3G(W-CDMA)で使用している周波数です。
band | ドコモ | SB | (Y! mobile) |
---|---|---|---|
I (2.1G) | ● | ● | ● |
VI (800M) | ● | ||
VIII (900M) | ● | ● | |
IX (1.7G) | 〇 | ||
XIX (800M) | 〇 |
3G(CDMA2000)
auが3G(CDMA2000)で使用している周波数です。QUモバイルはVoLTE非対応端末(iPhone5sなど)で音声通話のみ利用可能(▲)です。
band | au | UQモバイル |
---|---|---|
クラス0 (2.0G) | ● | ▲ |
クラス6 (800M) | ● | ▲ |
スマホ本体の仕様を確認するには?
各キャリアの “通信方式” と “周波数” がわかれば、あとは使用するスマートフォン本体が「どの周波数を掴めるか(使えるか)」を調べれば使えるか否かを確認することができます。
iPhoneの場合
Appleの公式サイトの製品ページより確認することができます。ただ、比較的に新しいiPhoneの場合には、NTTドコモを始めau・ソフトバンクの全キャリアで同一の筐体が使われている場合がほとんどなので、キャリアはもちろん格安SIMでも使うことができるでしょう。また、格安SIMなどでは公式に動作チェックをしていることが多いので、利用予定の格安SIMで掲載されていないか確認してみると良いでしょう。
キャリアスマホの場合
NTTドコモやソフトバンクが販売するAndroidスマートフォンに関しては、公式サイトの各機種の製品ページにある “スペック” より確認することができます。auに関しては製品ページには記載されておらず、別ページにまとめて記載されていました。
サイト SIMロック解除が可能なau携帯電話などの実装周波数帯一覧
SIMフリースマホの場合
SIMフリースマートフォンの場合には、各メーカーの製品ページや販売サイトに詳細が掲載されていることが多いので購入前の確認をオススメします。また、本体を操作することによって確認することができる機種もあります。
APNロックに注意
SIMロックされたAndroidスマートフォンでは、一部の機種でAPNロックが施されていることがあり、この場合にはスマートフォン本体の販売キャリア以外のキャリアで “テザリング” や “位置情報サービス” の利用に制限が発生する場合があります。
このAPNロックは、SIMロックと異なりスマートフォンの販売キャリアと回線のキャリアが同一であっても、格安SIMなど接続するネットワーク(APN)が異なる場合には制限が解除されることはありません。
また、SIMロックを解除してもAPNロックは解除されないことがあるため、「SIMロック解除されたスマートフォン」と「SIMフリーのスマートフォン」が必ずしも同一の挙動をするとは限りません。
昨今の比較的に新しいスマートフォンではテザリングの制限は撤廃されているものの、位置情報サービスは制限されたままであることが多いので、位置情報を用いたアプリやサービスを利用する予定がある場合には注意が必要です。
参考 ドコモスマホでテザリングがエラーとなってしまう問題の解決方法
参考 格安SIMでGPSの測位ができない問題の解決方法
まとめ
SIMロック解除したスマホを他キャリア(格安SIMを含む)で使用するのは意外と難しく “通信方式” や “周波数” を合わせるのはもちろん、APNロックなどの制限を受け入れる必要があります。また、利用するキャリア回線におけるサービス(キャリアメールなど)を受けられない可能性もあるため、SIMロック解除したスマートフォンを他キャリアで利用するためには、それ相応の知識と覚悟が必要となります。
このため、NTTドコモやau・ソフトバンクなどの大手キャリアを利用する場合には、各キャリアが販売する機種をそのまま利用するのが当然にベストです。格安SIMの場合には、各キャリアが販売するスマートフォンでは無く、SIMフリースマートフォンなどを使う方が面倒が少ないでしょう。